2019/04/17(水)docomo新料金プランにみる通信業界の問題
先日ついにドコモの新料金プランが発表された.昨年,総務省が携帯料金は4割値下げすることが可能との調査結果を発表した直後に,ドコモが昨年に4割値下げすると発表していた.国の意向に沿いました感を明らかに匂わせたタイミングだったので,ドコモの株価は大幅下落した.今回,その詳細が明らかになったのだが,実際のところは料金体系はauのピタットプランをそのまま焼き直した感じで,事前に発表していたような大幅値下げという感じではない.端末購入補助もなくなるので,回線+端末で考えると実質値上げである.
これまでの料金プランでは,小容量多回線の場合他社に比べてずば抜けて安かったが、新しい料金プランでは他社と同等水準となる.その他の契約形態の場合も若干値下げになる場合があるものの他社と横並びになった.その結果,携帯料金の値下げ競争にならなくなるため,ドコモだけでなくKDDIやソフトバンクの株価まで上がった.つまり,実質的な値上げで総務省の意向に沿わない形となった.
通信各社はあの手この手で抱き合わせ販売をし,売上をあげようとしてきた。一方で総務省は携帯料金の値下げと適正な競争を図るため,各社に対しあれはダメこれはダメと様々なルール強制してきた。しかし,いくら規制を増やしても結局いたちごっこなので効果が上がっていないのが現状だ.
そもそも問題の理由は,抱き合わせ販売や不当な契約条項といった既に法律違反の状態を放置してきたことである.無法がまかり通っている状態で新しく法を作ったとしても結局無法のままである.それどころか法を遵守しようとする正当なプレイヤーは複雑化する法に対応するためにコストがかかる一方,悪質な販売者はそういったコストがかからないため,競争的に優位になる.
近いうちに電気事業通信法が改正される.本当の意味で健全な競争を促進させるには,いかに法を分かりやすくし実効性のあるものにしていくかということが必要ではないか.